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遊具広場、囲って安心?孤立?…都立公園(読売新聞)

 東京都が今年度から、都立公園内の遊具広場を人の背丈ほどの柵で囲うという、全国でも珍しい取り組みを始める。

 幼い子どもを狙う犯罪が増える中、不審者から子どもを守るのが狙いだ。犯罪学の専門家らは「安心して遊ばせることができる」とその効果に太鼓判を押すが、「囲いの中が地域から孤立しないか」との慎重論も出ている。公園は地域住民の交流の場ともなっているだけに、今後議論を呼びそうだ。

 今回、柵が設けられることになる都立城北中央公園。練馬と板橋の両区にまたがる約26万平方メートルの広大な公園で、周辺住民たちの憩いの場だ。このうち、柵で囲われることになるのはブランコやジャングルジムなどの遊具が並ぶ一帯約3000平方メートルだ。

 「安全のためならどんなことでもしてほしい」。遊具で長女(2)を遊ばせていた母親(39)はこう歓迎する。つい先日も、近くの公園で、知り合いの子どもが不審な男に執拗(しつよう)に声をかけられたといい、「子どもを安心して遊ばせる場所が欲しい」と打ち明ける。

 昨年、都が子育て世代の都民ら計約1760人を対象に実施した調査では、子育てに必要な環境として挙げられた回答は「公園や遊び場」(45%)と「治安の良さ」(40%)が上位を占めている。

 こうした中、都が打ち出したのが都立公園の遊具周辺に柵を巡らせる計画だ。今年度から3か年で数億円をかけて都内78の都立公園のうち、12公園に設置する。柵は金属製か木製で高さ約1・8メートルを予定。簡単に乗り越えられないような構造にする予定だが、「監獄のようにならないよう、金網などは避けたい」(担当者)という。警備員などは置かないが、「子連れの大人以外は立ち入り禁止」などという看板を設置し、職員の巡回も強化する。

 ◆NYやロンドン先進事例を参考◆

 都が参考にしたのがニューヨークやロンドン、パリなど欧米の先進事例だ。

 清永賢二・日本女子大教授(犯罪行動生態学)によると、米国では1980年代頃から公園を柵で囲う取り組みを開始。柵内にカメラを向けることや、むやみに子どもに話しかけることも禁止した結果、子どもへの性犯罪が激減したといい、「不審者の接近を遮断するのに極めて有効」と話す。

 一方で、慎重な見方もある。公園の安全対策に詳しい中村攻(おさむ)・千葉大名誉教授(地域計画学)は「公園は地域住民の交流の場。囲いだらけにすれば、地域から孤立し、公園そのものの意義が死んでしまう」と警告。さらに「柵の中は安全と思いこみがちだが、いったん不審者が侵入すれば逃げ場がなくなり、むしろ危険だ」と指摘し、「必要なのは地域とともに子どもを育てる視点で、欧米の対策を直輸入することが最善とは思わない」と強調する。

 都の幹部も「行政が細かいルールを押しつけず、自由に遊べるのが公園本来の姿なのだが……」と本音を漏らしている。

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